▼ バキュームカーのように金を吸い上げている存在
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
社会は複雑になっているのではない。情報化し、流れが速くなり、ダイナミックな動きなので、今の社会の「構図」は複雑なものであると思いがちだが、そうではない。むしろ、極限的にまでシンプルになっている。
そもそも、誰が世の中に溢れる金を掃除機のように吸い取っているのかを見れば、世の中の「構図」はたちどころに見えてくるはずだ。
それは真面目に働く国民でも、国民から税を取り立てる政府でもない。今や日本人の4割は貯金がなく、政府は1000兆円をはるかに超える莫大な借金であえいでいる時代だ。
こうした現状は日本だけでない。ほとんどの国の国民は貯金を持たず、ほとんどの国の政府は借金にまみれている。国民にも政府にも金が回っていない。
金を根こそぎ吸い取っているのは、国民でも政府でもない。金をたらふく飲み込んでいるのは「企業」なのである。
特に、全世界に販売網を持ち、製品を供給できる体制を持つようになった巨大企業が、ひとり勝ちするようになっている。
彼らは政府をもしのぐ力があるので、議員を動かして税制を有利に変え、巧みに所得税を逃れ、国をまたいで資金を動かして脱税に走り、利益は吸い上げても税金を支払って還元することは考えない。
その一方で、合理化と効率化を徹底的に推し進めて、雇用を排除する技術革新で「労働の価値」を削減する。そうやって徹底的に利益を積み上げて、その利益は株主と経営者で山分けするのである。
つまり、巨大企業が世の中の金をバキュームカーのように吸い上げて、それを上層部で山分けするというのが現代社会の構図なのである。
実にシンプルではないか。
▼ 「労働の価値」が下げられ、「株式の価値」は極大化
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
真面目に働けば豊かに暮らせるという資本主義の根幹は、どんどん利益を吸い上げてもそれを還元しない多国籍企業が世界を制するようになってから変質するようになった。
現在は多国籍企業は徹底した「ROE(株主資本)経営」を行っている。このROE経営の意味は「株主が投資した資金から得られる利益を極大化させる経営」というものである。
利益を極大化させるためには、税金の支払いを最小に、労働者の賃金の支払いも最小にすることが望ましい。
だから多国籍企業はそれを極限まで推し進めており、その結果として借金だらけの政府とワーキングプア層の拡大になっているわけだ。
現代の資本主義は、まさに「株式《至上》主義」になっており、巨大な多国籍企業の利益にアクセスできない人間が貧困化する時代になってしまったのだ。
株主であることで、どんどん資産が膨らむというマジックが株式《至上》主義では働いている。「労働の価値」が下げられ、「株式の価値」は極大化されているのだ。
それが現代の資本主義の正体である。
0 件のコメント:
コメントを投稿